2024年3月14日

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株式会社クロンティップ

(鞄・輸入雑貨製品 卸売業・小売業)
所在地 東京都豊島区目白4-31-22 
代表者 藤倉 和実(代表取締役)
資本金 2,000万円
従業員数 17人
設立年 1999年
企業HP https://www.krongthip.co.jp/

---(2024年3月掲載)-------------------------

株式会社クロンティップは、主に欧州ブランドのシューズやカバンなどを扱うファッション雑貨商社として、今年で創業25年目を迎える。15年ほど前から、「健康に良い、身体に優しい商品」をコンセプトに、疲れにくいシューズや多機能バック等の製品をメインに取り扱うようになった。近年では、健康に焦点を当てたオリジナル商品の企画・開発・販売にも積極的に取り組んでいる。

自社商品の展開で「第二の事業の柱」を目指す

目標金額の6288%を突破し、1,200万円を超える支援金額を集め大ヒット!

長年に渡り、海外ブランドの総販売代理店として安定した収益構造を確立してきた同社は、更なる事業拡大と経営リスクの分散を目的として、既存事業とは別に「第二の事業の柱」を模索していた。まず、「自社商品を軸に小売の売上拡大を目指した」と語る藤倉社長は、コロナ禍でやむなく生まれた隙間時間を活用して、以前から開発を進めていた身体への荷重が分散されるバックや社員アイデア製品等を商品化した。

この“身体への荷重が分散されるバックは、藤倉社長が過去に自転車通勤していた経験から着想を得て、「肩にかけてもずり落ちないトートバックが作れないか」と、工業大学と連携して開発・商品化。コロナ禍を機に、全国的な広がりを見せていたクラウドファンディング(以下、CF)に注目し、初めて出品したところ、支援者からのリアクション、支援額は想像以上に大きかったという。さらに、「資金調達という面だけでなく、テストマーケティングの手法としても活用できることを知った」と藤倉社長。市場での反応を事前に把握することは、本格的な製造段階に向けた投資面でのリスクを低減させることにもつながる。

実際に同社では、コロナ禍で新たに開発した約10種類の商品をCFに出品しているが、売れ行きの見通しから市場のニーズを探ることで、「外さない」商品をタイミングよく市場へ投入することにつながり、小売の販売額を着実に伸ばしている。

中小企業こそクラウドファンディングの積極的な活用を

催事販売の様子。繁忙シーズンには月に30催事ほどを運営している。

大企業に比べて資金力が脆弱な中小企業にとっては、独自のアイデアや技術を駆使して研究・開発した試作品を、商品化する際の資金調達手段として活用されることの多いCF

同社が積極的に活用する理由として、「弊社の主な卸先であるカタログ通販、大手チェーン店や全国の小売店舗に対して新商品を提案した際、実績がないと取り扱ってくれなかったという苦い経験がある。どうしたら取り扱ってもらえるかを考えた時に、誰の目にもわかる絶対的な実績が必要だと考えた」と藤倉社長。多くの消費者の目に触れるCFでの売り上げ額は、商品の信用やブランド力を高めることにもつながる。同社では、その実績をもとに卸先へ商品の魅力を説明することで、付加価値を加味した適正な価格で販売できているという。

「せっかくいい商品であっても、上手な売り方がわからないという経営者の話をよく聞くが、自社商品を作っている企業であれば、売り方の手段の一つとして検討してみて欲しい」とアドバイスする。

価格転嫁の現状と今後の展望について

自社開発したバックを全国書店の一部スペースで販売している。取扱店舗も徐々に拡大中。

昨今、原材料費、燃料費の高騰や物価高が続く中、価格転嫁の現状について「仕入れ値は約2~4割上がっているのに対して、売値も2割程度もしくは、2割を下回る水準で上げるので精一杯」と語る。自社製品に比べて価格をコントロールしにくい他社製品については、人件費高騰等を考慮すると、十分な転嫁ができているとは考えていない。

値上げ実施後、同社が手掛ける催事販売では、値段を理由に購入を見送るケースが目立つようになったほか、お客さんから厳しい声が届くこともあったという。「様々な要因で仕入れ値が上がっているのは仕方ないが、これ以上は値上げしたくないのが本音。長年に渡って低価格が定着し、値上げに慣れていない日本では、単に値上げするだけでは需要減は避けられない。ただ、そんな状況だからこそ、今まで各販路で得た知見や独自性、発想力を活かせる自社製品の開発に力を入れていきたい」と、逆境の中でも前向きな姿勢を示す。売値を自社でコントロールできる商品があるか否かは、利益の増減に大きく影響する。

「ゼロイチの商品を生み出すこと、そして独自性を突き詰めること。そうすれば価格面で比較されるケースは少なくなる」と語るように、自社のアイデア、経験とリソースを活かした付加価値の高い商品を展開していくつもりだ。一方で、「自社ブランドを市場に浸透させていくためには、資金の無い中小零細企業には相応の時間がかかるのは理解している。少額で始められるSNS広告、プレスリリース配信サービス、インフルエンサーを活用したPR、百貨店等での催事販売など販促と販売を兼ね備えた手法を試しながら、着実に実績と認知を作っているところ」と、自社の立ち位置を客観的に分析しながら、更なる事業展開を見据えている。

---(2023年3月掲載)-------------------------

会社存続の危機から、大ヒット商品が次々と

クラウドファンディングを積極的に活用

海外から商品を仕入れて売るファッション雑貨商社として、20年近く事業拡大を続けてきた同社は、近年、オリジナル商品の企画・開発・販売に力を注いでいる。2019年の消費税増税、さらに追い打ちをかけるように訪れたコロナ禍によって、売り上げは一時、4割余り減少した。好調だった直営店の売り上げが壊滅的となったことを受けて、全店舗の閉店を余儀なくされた。EC、クラウドファウンディング市場を活用した販売が事業の柱となった同社は、試行錯誤を重ねながら大ヒット商品をいくつも生み出すことに成功している。

積極的にクラウドファンディングを活用

ずり落ちないトートバックが大ヒット

ずり落ちないトートバックが大ヒット

近年、新しい資金調達方法として注目されているクラウドファンディング(以下、CF)だが、同社は2019年より新商品を継続的に出品している。当初、想定を大幅に上回る売り上げを達成し、インパクトのある実績を作ることに成功した。その実績をもとに、通販カタログ業者やTV通販業者へ営業を行ったという。カタログ・TV通販は、大ロットで注文を受けることが可能となるため、新商品の開発資金に回せるという好循環が生まれるようになった。さらに、海外にも進出の余地があると考え、米国や台湾のCFへも積極的に出品し、今期は韓国のCFにも更なる販路拡大を目指している。

未開拓販路へのアプローチが可能に

海外商品も数多く取り扱う

海外商品も数多く取り扱う

CFは、多くのユーザーの目に触れるプラットフォーム上での新商品のPRが最大の特徴である。さらに、どれくらい売れるか事前にわかることが中小企業にとっては大きな意味を持つという。同社は、課題になっていた未開拓の販路へのアプローチが可能となったことに加え、製造後の在庫リスクを大幅に下げることに成功した。「多くの中小企業は、良い物・良い品質は作れるけれど、売先である出口が作れずに困っている。資本力に乏しい中小企業こそ、CFを積極的に活用することで新しい発見があるはず」と藤倉社長は語る。

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