株式会社Agnavi
所在地 | 神奈川県茅ヶ崎市本村2丁目2番地18号 |
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代表者 | 玄 成秀 |
資本金 | 5,596.6万円 |
従業員数 | 14名(アルバイト含む) |
設立年 | 2020年 |
企業HP | https://agnavi.co.jp/ |
日本酒の付加価値の向上を通じて、全国の蔵元の販路を拡大
株式会社Agnaviは、全国100以上の地酒を一合 180 mLサイズの日本酒缶「一合缶®」として開発・販売している2020年2月に設立されたスタートアップ企業である。国内で唯一の、缶への日本酒の充填から販売までを一気通貫するサービスを立ち上げ、たくさんの消費者が日本酒を気軽に楽しむことができるサプライチェーンの構築を実現している。
社長の玄氏によると、「日本酒の国内消費量は年々減少傾向にあり、約50年前から比較して、消費量は約77%減少しています。また、日本酒は政府の輸出重点品目に指定されているにも関わらず、輸出額もフランスにおけるワインの輸出と比べると著しく少ない」と言う。同社は、世界における日本酒の認知度の低さや大容量での瓶による販売が、物流における重量面と消費喚起の面で課題となっていることに着目した。
「当社では、中小の厳選された日本酒を中心に取り揃え、多くの人にまだ知られていないような地域で愛されている銘柄を知ってもらうために一合缶®にし、気軽に幅広い世代に手に取ってもらう機会づくりをしています」と玄氏は語る。
商品の実質的な価値である美味しさを追求するだけでは販路を拡大することが難しいが、さらに消費者の利便性を高めることによって、商品の付加価値を向上させることができるということだ。
円安を追い風に海外市場を開拓
海外への輸出について、「海外の飲食店でも消費できるか分からない大きな瓶を取り扱うよりも、一合という小ロットの缶製品であれば簡単に取り入れることができます」と玄氏。
「日本酒を缶に詰めることで、品質面・軽量面・環境面で期待している」と話す。「透過性の高い瓶ではなく、缶に充填することでUVをカットすることができ、より長く品質を維持することができます。また、缶1本は瓶1本と比較すると約1/10の重量で、缶にすることでトラック1台に対しておおよそ倍量の日本酒を輸送することができます。そして環境面でいうと、缶はリサイクル効率が良い点において環境配慮にも適しています」と言う。
さらに、「直近の物価高や円安のような動きを考えると、海外産の原材料にたよっている商品はどうしてもコストが増えますが、国産の原材料を利用して作られている日本酒はサステナブルな商品ともいえます。国内では余ってしまっている日本酒を、国内で安く売ってしまうのではなく、昨今の円安や物価高を逆手にとって海外において小売価格を上げて販売することによって、その分生産者の利益の幅も上げることができます。かつ、海外の販路を見出すことで消費が伸びて日本酒の生産も活性化されると思っています」と話した。
現在同社では、シンガポールや台湾、香港の高級スーパーや百貨店等に卸しているが、欧州、北米やブラジルなどの遠方地への輸出も順次開始をする。玄氏は「まずは現地の最大規模の法人などと連携することが大事です。それから、現地の方に日本酒を知ってもらう機会をつくることを重視しています」と答えた。「教育機関を通じた啓もう活動もしています。中国医科大学や国立台湾大学の学生向けにイベントを開催し、その反響を受け、フランスの大学でもイベント開催を検討中です。イベントでは、日本酒を実際に飲んでみて、直接良さを実感していただいています。そうすることで、海外の若者も日本酒を飲む機会が増えていきますし日本の産業を活性化することにつながる」と使命感をもって取り組んでいる。
蔵元の人手不足問題や地方創生の課題に挑戦
蔵元での人手不足問題も深刻化している。蔵元では、日本酒を生産するだけでなく、ボトリングとラベリングや梱包をする作業の負担も大きい。製造から販売までの作業を効率化することで、できるだけ早くより美味しい商品を届けたい、という生産者の想いがあるが、人手不足やコストの問題が生じている。また、昨今の物価高や人件費などの増加をうけて、特に中小の蔵元では、ボトリング作業をするためのコストや人手をかけられずに生産量を増やすことが難しい実態が課題となっている。「高性能なラインを導入することで高品質な日本酒の提供が可能になるが、、設備投資をできる余裕がある蔵元様は多くないのが実情です。そこを当社が生産以降の作業を請け負うことで、蔵元様は生産に特化することができ、さらに販売量も増やすことができます」と玄氏は語る。
将来的な展望として、同社は「地域貢献・地方創生」をビジョンに掲げている。「利益が二次波及・三次波及的に生産者の地域に還元されるようにしたい」と玄氏。地域を代表する産業である日本酒づくりを盛り上げ、消費を喚起するだけでなく、地域の魅力を知ってもらい、消費者がその土地を訪れていただくことが地域全体の活性化に繋がる、と考えている。玄氏は「蔵元様の流通を支援することで、その地域の地方創生を実現していきたい」と目を輝かせた。