2023年10月2日更新

株式会社コーノ

(食料品小売業)
所在地 東京都中野区上高田5-45-7
代表者 髙野 好一朗
資本金 2,250万円
従業員数 20名
設立年 1948年10
企業HP https://ptl.zchain.co.jp/store/2531?store_group_id=1

収益力の維持・回復に向けた取組

社長の髙野氏

株式会社コーノは、地域密着型の食料品スーパーマーケットとして、「全日食チェーン・コーノ新井薬師店」を運営。青果や鮮魚・精肉、惣菜など一般食品の小売をしている。

 昨今の原材料、光熱費、人件費の高騰に加えて、地域の同業者との競争激化によって、長らく売上、利益率ともに低迷する時期が続いていた。こうした背景の中で、同社は収益力の維持・回復に向けた生産性向上の必要性が高まっていた。

髙野社長は、適切な人員配置による作業のばらつきの排除を目的としたレイバーコントロール()を行った。事前に、投資に見合うだけの効果が得られるかどうかをシュミレーションした上で、従業員のシフトの見直しや作業スケジュールを柔軟に調整した。業界の特性上、日付、曜日や天候によって顧客の購買行動は大きく変化することから、それらを踏まえた従業員配置を行ったことで、ばらつきのあった人時生産性(※)の平準化に成功した。

また以前から、同社の発注管理はすべて従業員による経験と勘をもとに行っていた。自動発注システム(※)の導入によって需要の予測精度は大幅に高まり、余剰在庫を減らすことにもつながった。現在では、生鮮食品を除く85%以上の商品が自動発注システムを用いて発注される。ただ、「これらの取組は一定の効果はあったが、従業員の働き方が大きく変わるまでには遠く及ばず、生産性は頭打ちになっていた」と髙野社長は話す。

※レイバーコントロール…
従業員の労働時間スケジュールの調整を行い、人手が必要なときに必要な分だけ人員を投入することを目的とする人材運用の手法。
※人時(にんじ)生産性…
従業員ひとりが1時間でどれだけの利益を生みだしているかを表す指標。
※自動発注システム…
過去データを基にした需要予測に基づいて発注を行うシステム。全日食チェーンの自動発注システムは「補充発注」という考え方ではなく、この商品がどのくらい在庫があれば基本的には欠品にならないという考え方のもと発注数量が決定するため、欠品によるチャンスロスが非常に少ない。また店舗側での数量調整は基本的には行わないため、発注業務負担が大幅に削減できる。 

 

電子棚札を導入して従業員の負担を大幅に軽減

棚札変更作業等がなくなったことで、従業員の月間労働時間は約10%減少した

同社では近年、度重なる仕入価格の値上げを受けて、月に400500品目の価格改定が行われており、棚札の付け替え等に伴う従業員の作業負担が年々大きくなっていた。従業員がどんなに注意を払っていても棚札の付け替え漏れなどのミスは発生してしまう。そこで、更なる生産性向上を目指して、「電子棚札」の導入を決めた。「実際に導入してみて、非常に手間がかかっていた棚札交換作業の時間と費用を大幅に削減できたことが一番大きかった」と髙野社長。

一度、電子棚札を設定してしまえば、価格変更のたびに手作業で一つひとつ棚札を変更する必要がなくなり、パソコン上で表示変更ができるため、店舗のオペレーションを効率化できる。また、日頃利用するお客さんからも「棚札が前に比べて見やすくなった」「店内に統一感を感じる」などポジティブな声が多かったという。他にも、レジでの会計と棚札が不一致による顧客とのトラブル発生リスクを極限まで抑えることができるなど、導入後に感じたメリットは想像以上に多かった。

紙に印刷する棚札と比べて、電子棚札導入に伴う初期費用とランニングコストは決して小さくない。しかしながら、棚札作成や付け替え時間等の労働時間の削減やミスによる損失の削減により、長期的に見て必要な設備投資だったと考えている。「棚札変更作業などがなくなったことによって、従業員の月間労働時間は約10%減少し、働き方改革にも大きく寄与した」と満足そうに話した。

より一層の生産性向上を目指して

食料品を中心に、地域密着型の店づくりに取り組む

同社は、設備投資の効果を最大化するべく取組んでいるが、近年の原材料価格高騰による収益圧迫によって、依然厳しい状況に置かれている。「地域密着型の小規模スーパーにとって、生産性向上の取組は不可欠」と話す髙野社長は、セルフレジ導入の準備を進めている。購買点数の少ないお客さんも順番にレジに並ばなくてはいけない現状や、最近大型スーパー等にも広く導入されつつあるセルフレジの普及状況を考慮して、前向きな投資を決断したという。

レジ打ちの従業員は常時、平均して1.5人~2人で対応していたところ、セルフレジの導入によって1人~1.5人ほどで足りると試算しており、導入の効果は大きいと見込む。「日頃のお客さんとの会話や、社内システムを使う中で感じる改善点はたくさんあるので、従業員とお客さんそれぞれにとってより良いお店になるようこれからも積極的に取り組んでいきたい」と髙野社長は力を込める。従業員の満足度を高めつつ、どうすれば地域に愛されるお店作りができるか、日々試行錯誤を繰り返している。

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